【出会い方が重要】評価と報酬の決まり方

最近、人やモノの評価、ひいては報酬(価格)の決まり方について考えていました。立場、経験によって色々見え方は違うと思いますが、僕の考えを書き残しておこうと思います。

前提として継続的な案件を獲得するとか、転職するとかそういう場面においての話を中心に想定しています。とはいえそれ以外の場面でも当てはまるケースはあるかもしれません。

違う観点、意見がある方はぜひコメントでお願いします。

評価のタイミングによる評価対象の違いと価格への影響

人やモノ(以下、まとめて財と呼びます)の価値を評価する時に、まず大きく分けて評価対象の価値を享受「する前」「した後」に評価する場合があると考えています。

価値を享受するとは、要はモノを買って使用、消費したりする、あるいはサービスを受けることを言っています。本を買って読む、チョコを買って食べる、ジムに行って筋トレする、などの消費活動と言えます。

で、超簡単にそれぞれの評価タイミングの例を書くと

  • 価値を享受する前:本を読む前にお金を払って買う(多くの場合こちら)
  • 価値を享受した後:本を読んでからお金を払う

みたいなパターンをイメージしてみてください。

それぞれについて詳しく考えていきます。個人的にポイントになると考えているのは、タイミングが違うことによる評価対象の違いです。

価値を享受する前パターン

価値を享受する前に評価を行う場合、評価対象はその財ではなく財にまつわる付加的な情報になります。特に初めて買うもの、これまでに買ったことのないものを評価する場合はこのパターンになるはずです。

例えばセールストーク、キャッチコピー、紹介文、口コミ、あるいは過去に似た財を利用したことがあればそれを参考にするとか、そういうものです。

冷静に考えればそりゃそうですよね。読んだことのない本を買う時、「その本が面白いor役立つから買う」ことはできません。内容を知りませんからね。「面白そうor役に立ちそうだから買う」のです。大抵の場合はこのパターンでしょう。

そして想定される価値の対価としていくらまで払えるか、それを実際の価格が下回っていれば買うことになります。

これが案件を獲得するとか転職の場合、

  • 職歴
  • 実績
  • 技術スタック

など、そういったものが付加情報になりあなたが「会社の役に立ってくれそうか」、もっと言えば「使えそうか」が採用する上でのポイントになります。上記のようなわかりやすい指標以外にも、話し方とか言葉遣い、立ち振る舞いなど些細な部分も評価対象にされるでしょう。

ここで最も重要なのは、「最初の評価がどこかのタイミングで大きく上がることはなかなか無い」ということです。

よくエンジニアは転職した方が年収が上がるという話がありますが、明らかにこれが原因だと考えています。会社からすれば社員の評価を高める=給与が上がる=コスト増になります。積極的に社員の評価を上げるインセンティブがないというわけです。むしろ給料を上げずにそのまま働いてくれるならありがたい。

もちろん社員のモチベーションという話もあり、働く環境に力を入れている会社なら満足いく給与上昇があるかもしれません。しかし現状それが可能な会社はごく少数でしょう。そもそも日本全体として経済は停滞気味なわけですからね。

社員だけでなくフリーランスでクライアントと取引をしている場合でも近いことは起こるでしょう。例えば月額制で契約していた場合、金額は変わらないけどやることだけは増えていく一方・・・なんてことがあり得ます。

価値を享受した後パターン

価値を享受した後に評価を行う場合、評価対象は財そのものの価値と言えます。このパターンはそもそも状況として少ない気がしますね。

分かりやすい事例としては野球選手の年俸制度が当てはまるでしょうか。前年の活躍ぶりが次年度の年俸に大きく影響します。もちろん次年度に期待される活躍分も含まれてはいるでしょうが、概ね前年度の評価が反映されます。

買う側が価値の対価としていくらまで払えるか、それを実際の価格が下回っていれば買う、ことは「価値を享受する前パターン」と同じではあります。しかしすでに価値を享受してしまっている以上、こちらも積極的に評価を上げるインセンティブがないように思います。

ここは結局自分と取引相手のパワーバランスなのでしょう。こちらが「その金額では受けません」と言って相手が「じゃあいいです」となるなら、少なくともその相手とは交渉の余地が無い。ここで自分が他にクライアントがいればいいですが、そうでないなら低い金額で飲むしかないことになります。

「財の価値を正しく金額に反映することが難しい」という話もあります。「この価値があったからこの金額を払う」という決め方は非常に難しいです。実際自分の単価を決める時、根拠があまりなくて結局相場からなんとなく決めたり、自分の欲しい金額を出すだけになっていることってありますよね。裏を返せば買う側も金額を決めるのは難しいのです。

逆に「この金額でこの価値ならまあ納得する」というケースはよくあります。例えばLP1ページの制作費を10万円と言っても20万円と言っても、どっちでも同等の納得具合になる可能性があります。相手がWeb制作に詳しくないとすると、10万円だから価値を大きく感じるとか、20万円だから割高に感じるとか、そういうことが必ずしも起こらないということです。

実際時々お客さんのサイトの前任者の仕事ぶりを聞くことがありますが、僕からすれば「この金額でこのサイトの出来はあり得なくないか?」と思うことが多々あります。でもそれはお客さんからすれば判断が難しいことなのです。

どうすれば良いのか

まずは定期的に自分がやってきたことをまとめておいて、実績として残しておくことが大切です。当たり前のように思えて、案外すぐに出せるものを全員が持っているかというとそうでは無いように思います。

ここで大事なのは「どんな些細なことも書き残しておく」ことだと思っています。何が相手にとって価値になるか、完全に把握し切ることは難しいですからね。自分的に「これは実績として言うほどでもないか」と思うものも、他人にとってはありがたいことかもしれません。

タイトルに入れた「出会い方が重要」とはそういう意味です。最初の段階でいかに自分の評価を高めてもらうか。それでその後の報酬額は大きく変わってしまいます。

世の中を見渡してみると、良くも悪くもこれに忠実ではありますよね。例えば、残念ながらSES会社が短期的に稼ぐ最も効率の良い方法は「経歴詐称した未経験を高単価で売り捌く」ことです。嘘をついてでも単価を釣り上げて、あとは知らぬ存ぜぬ。でも実際よく聞きますよね。その後の信頼関係がどうでもいいと思っているならこうなってしまうんでしょう。SES会社が「クライアントはいくらでもいる」「そもそも長期的にやるつもりがない」などの認識をしていたとしたらこうなるのはある意味自然です。

もちろんそんなのを推奨するつもりはなくて、少なくともフリーランスで長くやりたいならこんなことをやっているといずれ誰からも仕事をお願いされなくなります。

自分のやってきたことに自信と誇りを持ちつつ、誠実にやるということが僕としてのひとまずの結論です。

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